奈良市 東大寺の鬼瓦

東大寺(とうだいじ)
門前はいつもにぎわっています。鹿もいます。
その向こうにそびえるのが南大門。高さは基壇上25.46mもあり、大棟の端に載る鬼瓦を、素人の私のカメラではこれまでどうしても撮影できませんでした。このたび、やっとまあまあの鮮明さで撮れて、初めて東大寺の鬼の親分に出会えた気分です。
この南大門は4年かけて1203(建仁3)年に竣工したもので、わが国最大の山門です。堂々たる鬼面文鬼瓦が天下を睥睨しています。

大仏殿は、江戸時代の再建で小さくなったというものの、それでも世界最大級の木造建築です。屋根は重層で、棟までの高さ49mは創建時とほぼ同じだそうです。その大棟には巨大な金色の鴟尾が載っていますが、初重、2重とも降り棟に鬼面瓦がしっかり載っていて、これらも今回、初めて撮影できました。

鐘楼(国宝)の北側にある俊乗堂は、平重衡によって焼かれた大仏殿などを鎌倉時代に復興した俊乗房重源の遺徳をたたえて、元禄年間に造られたものです。屋根にはたくさんの鬼が載っています。
「お水取り」で知られる二月堂(国宝)は1669年再建です。
閼伽井屋(あかいや=井戸)にも、鬼子母神にも、古い鬼が載っています。
三月堂(法華堂)は、東大寺建築物の中で最も古く、東大寺創建以前にあった金鍾寺(きんしょうじ)の遺構とされます。もとは寄棟造りの正堂(しょうどう)と礼堂(らいどう)が軒を接して建つ配置でしたが、鎌倉時代、礼堂を入母屋造りに改築して2棟をつなぎました。正堂は天平初期の建築、礼堂は大仏様(よう)の特色が見られる鎌倉時代の建築。時代の異なる建築が高い技術によって結ばれ、調和の取れた美しい姿を見せています。
法華堂経庫は校倉造で、ここには三角鼻の鬼がいます。
奈良時代の塑像の最高傑作といわれる四天王立像(国宝)で知られる戒壇堂の山門と本堂には、威厳に満ちた鬼面瓦があり、その一つには「享保十七年」(1732)の銘が彫られています。

東大寺のたくさんの堂宇のほとんどすべてに鬼面瓦が載り、しかもみんな手作りの名品ばかりですから、こんなに楽しい寺院はまたとありません。あまりにも多い鬼瓦を精選して、それでもこのHP最高の55コマも掲載することになりました。

その中でも、注目すべき特別な鬼瓦があるのが大湯屋です。大湯屋(重文)は僧侶たちの風呂場で、伽藍配置上は重要視されないように見えますが、俊乗上人が大仏殿などとともに1197(建久8)年に再建したもので、中には鉄湯船(重文)があります。
そしてなんと、大湯屋の屋根に載っている鬼面文鬼瓦十数個がみんな、角1本なのです。ただ1つ、南西降り鬼だけが角縦2本鬼です。これらを見ると、鬼師が気まぐれに角1本鬼や角2本鬼を創ったのではなく、しっかりした思想性があるのだろうと思われます。
何度参詣しても飽きることのない、鬼瓦の宝庫です。

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