奈良 橿原市 今井町の鬼瓦

かつて戦国時代に「大和の金は今井に七分」といわれるほど繁栄した橿原市の今井町。観光客で賑わっていますが、普通の観光地とは全く違います。江戸時代そのままのたたずまいと情緒を残すこの町では、現在も町の大半の町家が大切に保存され、そこに人々が暮らしているのです。
世界的にも貴重な財産で、1993年には「重要伝統的建造物群保存地区」の選定を受けました。東西約600m、南北約310m、面積17.4haの地区内には、全建物数約1500棟弱のうち、約500棟の伝統的建造物があり、全国で最も多い地区となっています。
また、国の重要文化財が9件、県指定文化財が3件、市指定文化財が5件あります。
地元の材料を使い、近隣の職人によって暮らす人に便利なように工夫された一軒一軒の家は、土地の風土や自然、歴史をはっきり反映しており、民家建築の貴重な財産でもあります。
そして、お寺(4寺のうち3寺)だけでなく民家の屋根にも鬼面文鬼瓦があるほか、大黒天などの鬼瓦、飾り瓦が載っていて、数百年間の人々の暮らしを見守り続けているのです。
その中には、火消し桶ではないかと思われるデザインの鬼瓦もありました。ご近所の年配の男性に「あれは何をデザインしたものでしょうかねえ」とお聞きしてみましたが、「はて、何だろう」と、初めて見るような感じで、わかりませんでした。ただ、少なくとも江戸時代の江戸では「火消し」とは水をかけて消火するという発想はなく、建物を壊して延焼を防ぐのが一番だとされていたようですから、今井町で火消し桶が普及していたかどうか。
商業が繁栄した証拠の「うだつ」が上がった家もあります。外部からの侵入者を拒絶する環濠=堀があります。織田信長に挑戦し、293年もの間、独立した自治都市を築いた歴史と町並みを大切にする住民の努力と誇りがいたるところに漂っています。作り物ではない、本物の生活・歴史空間です。
中には廃屋と見える建物もありますが、自治体やNPOなどが空き家対策に取り組んでいます。

多彩な屋根の上も含めて、すばらしく魅力的な街です。

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