奈良 天理市 長岳寺の鬼瓦

長岳寺(ちょうがくじ)
2016年10月、この寺に着いたのは夕暮れ近くでしたが、参詣客がたくさんいました。約400年前の安土桃山時代に狩野山楽が描いた「極楽地獄図」が開帳されていたからです。
大きな絵図には、「往生要集」(僧源信)由来の地獄、死天山、三途の川、奪衣婆、賽の河原、八大地獄、餓鬼道、畜生道、修羅道……、巨大な網の上で火あぶりにされる人々、舌を抜かれる場面など、すざましい情景に心胆が凍りつきます。閻魔大王の家来の角の生えた怖い鬼たちが人間をとことん痛めつけます。(このような絵図こそ、鬼を怖い悪者として日本人の心に植え付けた「張本人」でしょう。私の愛する鬼瓦たちはこんなに残酷なことはしないのに!)
しかし第9軸は様相が一変して、極楽より阿弥陀如来が往生する人を迎えにくる、いわゆる聖衆来迎図となっています。
もともとは、この絵を使って因果応報、勧善懲悪、先祖供養の意義などを説いたのでしょう。
しかしいま長岳寺は、この図はまさしく現世(人間界)を告発している図であると言います。この図に示される、悪道や修羅道の世界は形を変えて我々の世界に存在する――戦争、自然破壊をも行う餓鬼道、猜疑心にとらわれた畜生道、競争社会で相手を殲滅するまで争う修羅道。(HPから)

鬼たちも一緒になって、本当の悪者をやっつけて、平和な世の中をつくりたい! 本堂や鐘楼門(国重文)の鬼瓦は、夕日に照らされながら、そう訴えているかのように見えました。

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