青宮寺(せいぐうじ)に安置される木造聖徳太子立像は、県指定文化財として知られています。
南北朝時代〜室町時代初期の制作で、太子が病に伏した父・用明天皇の回復を祈る姿をあらわしています。像高78.3cm、髪をふり分け、美豆良を結い、衲衣に袈裟をかけ、柄香炉をとって立つ姿で、太子孝養像と呼ばれ、地域の子供たちの成長を見守る存在として信仰されています。
しかし、私が本当にびっくりさせられたのは、手水所の屋根です。
(愛知県 稲沢市 青宮寺 手水所 全景)
大棟の南北それぞれから、何と龍が空に向かって飛び出そうとしているのです。 (愛知県 稲沢市 青宮寺 手水所 大棟南 龍)
(愛知県 稲沢市 青宮寺 手水所 大棟南)
(愛知県 稲沢市 青宮寺 手水所 大棟南)
こんなに大きく、しかもリアルな龍面文鬼瓦は、日本では他例がないでしょう。韓国の寺院には類似の龍がたくさんいますが、空に向かって羽ばたくほどの勢いを示してはいません。 (愛知県 稲沢市 青宮寺 手水所 大棟北)
(愛知県 稲沢市 青宮寺 手水所 大棟北)
日本の龍面鬼瓦は、それほどたくさんはありませんが、みんな、龍面を数十センチ角の中に押し込む形で巧みにデザイン化して、1の鬼または2の鬼として屋根の隅に載せていることが共通しています。
その型を完全に破って、龍を天に舞い上がらせようとするとは、何と大胆な造形でしょうか。これを製作した鬼師に、絶賛の拍手を贈ります。